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膝の違和感と痛み/半月板逸脱と内側半月板後根断裂
半月板逸脱(半月板のずれ)
レントゲンでまだ異常のない早期変形性膝関節症の方で、超音波やMRI撮影をすると半月板損傷、半月板逸脱を認める場合があります。
この半月板逸脱は変形性膝関節症の発症に関連しており、近年、その病態診断と治療法が学会でも注目されています。
半月板逸脱(半月板のずれ)が大きいと….
半月板のクッションとしての機能が低下して軟骨がすり減りやすくなります。
半月板逸脱量 3mm以上は変形性膝関節症進行の危険因子と報告されています。
半月板逸脱(半月板のずれ)の診断
超音波装置やMRIで簡単に半月板逸脱は診断できますので膝痛が持続している方は整形外科担当医に相談してみてください。
半月板逸脱に関する臨床研究
- 超音波診断装置を用いた膝関節内側半月板逸脱量測定の検者間再現性 – 未経験者・経験者での比較検討 –松宮佳代、五嶋謙一、ほか JOSKAS誌 2023
- 超音波診断装置を用いた内側半月板後根断裂の半月板逸脱評価- 非荷重・荷重下での伸展・屈曲位の変化 –松宮佳代、五嶋謙一、ほか 日本スポーツ整形外科学会 2023
※当院では、内側半月板逸脱に関して超音波装置を用いた臨床研究を全国学会で発表しており、早期変形性膝関節症の病態解明、治療に力を入れております。
治療法~鏡視下centralization
近年、半月板逸脱は鏡視下に修復可能であり、当院でも半月板逸脱に対する鏡視下centralizationを行ってます。
内側半月板後根断裂
内側半月板後根断裂(ないそくはんげつばん こうこんだんれつ)中高年の女性に好発し、急激に膝関節の機能が悪化する特殊な半月板の断裂です。
しかし、適切な診療がなされず、膝関節骨壊死や変形性膝関節症が進行した状態となり、人工膝関節手術となる場合もあり注意が必要です。
かかりやすい年齢や受傷機転
- 中高年、女性
- 階段昇降、わずかな段差、坂道
- しゃがみ込み動作
- 明らかな外傷歴はない
主な症状
- 突然の膝窩部痛(ひざうらの痛み)
- パキッという音を伴うことも
- 痛くてしゃがめない
- 肉離れ、坐骨神経痛と間違われやすい
*このような痛みを自覚した場合は、すぐに整形外科専門医に相談してMRI検査による診断が必要です。
治療法~鏡視下半月板縫合術
疼痛、関節水腫が持続したり、半月板逸脱が大きい場合(3mm以上)は変形が進行する前に鏡視下半月板縫合術が望ましいです。