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変形性膝関節症の手術療法/人工膝関節置換術と膝周囲骨切り術

変形性膝関節症の症状

40歳以上で「膝の痛み」でお悩みの方は全国で約800万人と推定されています。その大部分が、変形性膝関節症によるものと言われています。主に加齢により膝関節の軟骨が徐々にすり減り、膝の痛みが出現する病気です。
通常はレントゲンで、関節裂隙(軟骨の厚み)を調べることで、変形性膝関節症の進行度を知ることができます。しかし、初期の変形性膝関節症はレントゲンでは異常がない場合もあり、軟骨、半月板の評価のためMRI検査を行うことが大切です。
また、日本人などアジア人はO脚が多いですが、O脚(荷重軸が内側を通過)は変形性膝関節症進行の危険因子と言われており、立位下肢全長レントゲン撮影で下肢アライメントを調べることも治療方針を考えるうえで重要となります。

(変形性膝関節症の進行度)

変形性膝関節症の治療は①手術以外の方法(保存療法)②手術による治療に分けることができます。
保存療法には運動療法、ヒアルロン酸関節内注射、消炎鎮痛剤、装具療法などがあります。保存療法では十分な効果が認められず、疼痛により日常生活に支障をきたすようになった場合、手術療法を検討します。
手術療法には高位脛骨骨切り術などの膝周囲骨切り術人工膝関節単顆置換術人工膝関節全置換術があります。

人工膝関節単顆置換術

内側もしくは外側のみの膝関節軟骨がすり減っている方に行う手術で、人工膝関節全置換術とは異なり、片側のみを人工関節に置き換えます。比較的年齢が高く、活動性の低い進行期の変形性膝関節症の方や、膝骨壊死の方が適応となります。
この手術のメリットは、人工膝関節置換術と比べ、術後可動域が良好で(正坐ができる方もいます)、筋肉、靭帯を温存するため早期の術後回復が可能です。

人工膝関節全置換術

変形性膝関節症、膝骨壊死、関節リウマチなどによって傷んで変形した膝関節表面を人工関節に置き換える手術です。傷んだ部分を人工関節で置き換えるので優れた除痛効果があり、O脚などの変形は治り、まっすぐな脚になります。
また、当院では人工膝関節置換術の際、先進医療のMakoシステムを導入しています。人工膝関節置換術において良好な治療成績を得るためには、正確なインプラントの設置が重要であり、Makoシステムの導入により、より精度の高い手術が可能となっております。

高位脛骨骨切り術

内側型変形性膝関節症(内側の関節だけ傷んでいるもの)で比較的活動性が高く、病状のそれほど進行していない変形性膝関節症のかたが適応となります。活動性が高ければ、年齢制限はありません
脛の骨を切りO脚を矯正し、O脚変形のため膝の内側に偏った荷重ストレスを、きれいな軟骨の存在する外側へ移動させる手術です。脚の形はO脚から軽度X脚に変わります。
人工関節置換術と違い、自分の関節が温存されますので、患者さんの満足度は高く、術後も正坐が可能であったり、スポーツや農業などの仕事へ復帰された方も多くいます。
一方で、骨が癒合するまで痛みが多少続くこと、機能回復にはリハビリをしっかり行うことが必要です。最近は、中高年のスポーツ愛好家人口の増加とともに、高位脛骨骨切り術を受けられる方が増えています。

大腿骨遠位骨切り術

日本人の大部分は内側型変形性膝関節症(O脚変形)ですが、外側半月板切除後などに外側型変形性膝関節症(外側の関節だけ傷んでいるもの:X脚変形)を生じることがあります。
高齢であれば人工関節置換術となりますが、40から60歳代で活動性が高ければ、このようなX脚変形に対して大腿骨遠位骨切り術を行っております。高位脛骨骨切り術と同様、自分の関節が温存されるため、患者さんの満足度は高く、術後の活動性に制限はありません

高度内反変形に対する膝骨切り術

内側型変形性膝関節症(内側の関節だけ傷んでいるもの)でO脚の程度がひどく、大腿骨と脛骨の両方にO脚の原因がある場合、大腿骨・脛骨両方で骨切りをしてO脚を矯正します。
40から60歳代で活動性が高い方が適応となります。
大腿骨、脛骨両方にO脚の原因がある場合、高位脛骨骨切り術を行うと術後、膝関節面が傾き非生理学的な膝関節となるため、術後の関節面の傾きを保つため両方での骨切り術が必要となります。
高位脛骨骨切り術同様、自分の関節が温存されるため、術後の活動性に制限はなくスポーツや農業などの仕事へ復帰された方も多くいます。一方で、高位脛骨骨切り術よりも後療法に時間を要し、骨癒合が得られるまでは痛みが多少続くこと、機能回復にはリハビリをしっかり行うことが必要です。

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